原 勝則
2023.12.04
元NHKディレクターが教える!盛り上がる結婚式プロフィールムービーを自作する3つの秘訣
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こんにちは、空飛ぶペンギン社・代表の原です!
私はもともとNHKでテレビ番組をつくっていました。ドキュメンタリー番組や報道番組や中継番組やあれやこれや・・・
そんなNHKでは、同僚の結婚式があると、披露宴で上映するプロフィールムービーを制作します。例えば「NHKスペシャル」風につくってみたり、私がいた当時に人気番組だった「プロジェクトX」風に作ってみたり。
一応、プロなので、披露宴で滑るわけにはいかないんです。そんなわけで、披露宴のプロフィールムービー作りには、仕事以上に気合いを入れて作っていました。
そんな披露宴で上映する「プロフィールムービー」。最近は、パソコンをつかって自分たちでも簡単に作れちゃいますよね。披露宴ではケーキ入刀やキャンドルサービスや、いろんな定番演出がありますが、個人的には、いろんな演出の中で、プロフィールムービーが、一番といっても過言ではないくらい「大事」なんです!!大事マンブラザーズなんです!!しかし、作り方を間違えると、せっかくの「チャンス」が台無しになってしまいます!
「え?何のチャンス?」と思った方!
披露宴は日頃お世話になっているゲストの皆様へ、感謝の気持ちを伝えるとともに、これから先の人生も、ふたりを応援してもらえるように、言ってみれば心強い味方になってもらうための場でもあるのです!
ゲストの皆様に、今まで以上にふたりのことを理解してもらい、>好きになってもらうチャンスが、披露宴にはあるのです!
ゲストの皆様が、ふたりを好きになるためには、どうしたらいいのか!?
それはまず、「ふたりのことを知ってもらう」ことなんです。
そして披露宴の演出において、「ふたりのことを知ってもらう」につながる演出アイテムこそが、「プロフィールムービー」なのです。そこで今回は、ゲストに好かれる、面白い披露宴のプロフィールムービーの作り方の秘訣を教えちゃいます!
目次
盛り上がるプロフィールムービーを作る3つ秘訣
秘訣その①「二人だけの情報を出す」
空飛ぶペンギン社 プロフィールドキュメンタリーより
突然ですが、ココが一番大事なポイントです!テストに出るので覚えておきましょう~。
さて、「ふたりだけの情報を出す」ってどういうことなんでしょうか?
一般的なプロフィールムービーは写真と文字(テロップ)で構成されていますよね。重要なのはこの「文字」の部分なのです。この文字の部分に「ふたりらしさ」をどれだけ盛り込めるのかが勝負です。
よくありがちなプロフィールムービーの例をとって見てみましょう。
例えば、小学校に入ったところのくだり。
よくありがちなパターン:「小学校に入学!」
はい、これダメです。「小学校に入学」というのは情報としては価値が限りなくゼロです。日本では、ほとんどの人が、6歳にもなれば小学校に入るわけなので。
観ている人(ゲスト)からすると、新しい発見がないのです。
たとえば、「小学校に入学!」を、
「小学校に入ってもおねしょの日々」だとか「最初で最後のモテ期到来!バレンタインチョコを毎年10個以上ゲット」だとか、ふたりの当時の様子がわかる情報に置き換えることで、「へぇー!!」となるのです。他にも見てみましょう。
例えば、ふたりのデートのくだり。
よくありがちなパターン:「買い物や飲み屋でのデートが多い」
はい、これもダメよ~、ダメダメ!(古いとか言わないでっ!)
これだと、「ふーん」ってなるだけですよね。情報がざっくりすぎるので、笑っていいのかどうしていいのか、反応に困っちゃうわけです。もうちょっとなんかこう、工夫しましょう。
例えば、「ケンカの仲直りにバッグを買わされる新郎」、「酔っ払うと噛み付いてくる新婦」など、より具体的に、「ふたりの関係性やエピソード」がわかるような情報を出すことが肝心なのです。
ゲストの中には、いろんな人に招待されて、何度も何度も結婚式に参加している人もいることでしょう。そういうゲストたちからすれば、ありがちな情報しかないプロフィールムービーは見飽きちゃってる可能性が高いんです。
しかし!!だからこそ、チャンスなんです!ちょっと工夫するだけで、「今までの結婚式とは違う!」という印象を残すことができるのです!それには、いかに「ふたりらしい情報」をてんこ盛りにするか、が大事なんです!
秘訣その②「ゴシップネタをできるだけ出す」
空飛ぶペンギン社 プロフィールドキュメンタリーより
「ふたりの情報を出すのが大事なのはわかったけど、どんな情報を出せばいいの?」という質問をよくいただきます。
答えはズバリ「ゴシップネタ」です!
ゴシップ情報というと、何やら週刊誌のニオイがしてきますね。「芸能人の誰が誰と熱愛!」とか「芸能人Aが事件を起こした!」とか。 私は昔は、ゴシップネタが好きではなかったんですが、今は、ついつい気になっちゃうことがあります。「こっちの週刊誌ではこう言ってたけど、ワイドショーだとこう言ってるな」とか、芸能人のゴシップネタって昔から人気ですよね。
披露宴のプロフィールムービーも一緒なんです。もちろん、「新郎は昔浮気していた!」なんて、本当のゴシップはダメですよ!
ここで言うゴシップというは、「ちょっとカッコ悪い」話のことです。美談よりも失敗談、かっこいい話よりもかっこ悪い話、の方が、あら不思議!なぜかウケるんです!
それでは、再びよくありがちなプロフィールムービーを例にとって見てみましょう!
例:「ケンカもなくラブラブなふたり」
はい、全然面白くないですよね!もちろん、ケンカしないカップルもたくさんいらっしゃいますよ!でも!でも!ゲストはそんな話は求めてないのです!もっと「あはは!」と笑えるようなネタが欲しいのです!
仮にケンカをしないカップルだったとしても、「ちょっとイラっとするな」みたいな瞬間ないですか?そしたらそういうエピソードを紹介してあげるだけでもいいのです。
例えば、「基本的にはラブラブだが、話を聞かない新郎にイラッとしているのは、ここだけの話」とか、「レディファーストでいつも優しい新郎だが、ゴキブリを見ると、新婦を置いてひとり逃げ出す」とか、こんな感じの話の方が、面白くないですか?
ケンカをよくするカップルならそのケンカネタを盛り込むことで、笑えるエピソードにつながります。「新婦に内緒でキャバクラに行ったのがばれて、2日間にわたる土下座でようやく許された」など、ケンカネタは笑いを取る絶好のゴシップネタです!
「ぼくってこんなに完璧な人間なんだ」って言う人より、「ぼくってこんなに失敗ばかりの人間なんだ」って言う人の方が、信頼できるし、何やらやら親近感覚えません?
プロフィールムービーも同じです。「こんなに素敵なカップルなの」と言うよりも、「こんなに未熟でバカなこともしちゃうようなカップルなの」と言う方が、観ている人は、「しょうがないな~。よし、いっちょ応援してやるか!!」となりやすいのです。
自分たちをネタにし、いかにみんなに喜んでもらえるか、そんなエンターテイナーとしての姿勢が大事です!
秘訣その③「おしゃれよりも分かりやすさ!」
空飛ぶペンギン社 プロフィールドキュメンタリーより
さて、プロフィールムービーの文字(テロップ)についての秘訣の次は、写真や編集についてのポイントをお伝えいたします。
大事なのは「分かりやすさ!」です。
大事なのは「分かりやすさ!」です。
大事なので2回言いました。
せっかく練りに練った情報や必死に思い出したゴシップネタも、伝わらないと意味がありません。写真から次の写真に切り替わる時に、やたらぐるんぐるん回転したり、ページがめくれるように「パサッ」っとなったり、上から「ふわっ」と降ってきたり、いろんな映像表現がりますし、クリックひとつで簡単にできちゃうんですが、、、そんな映像テクニックは必要ないのです。
ぐるんぐるんするのに2秒の尺をとれられるくらいなら、むしろないほうがいいです。その分、写真とテロップを2秒長く表示する方が、ゲストにとってはありがたいです。
さて、以上の3つが、披露宴のプロフィールムービーを作る際の重要なポイントになります。この3つさえ、覚えていれば、ゲストに喜ばれるプロフィールムービーになること間違いなし!! とはいっても、具体的に、何か始めればいいの?という方も多いかと思います。
というわけで、これから実際に制作する際の「流れ」について、お伝えします。
披露宴プロフィールムービー制作の流れ
ステップ1 ~情報収集~
まずは情報収集です。「自分たちの話なんだから、そんな大げさな・・・」なんて今チラッと思ったあなた!一週間前に食べたお昼ご飯を覚えていますか?ぱっと出てこないですよね~!
そう、自分のことでも、忘れていることがたくさんあるはずなんです!
普段、私たちは、お客様のプロフィールムービーを制作しているわけなのですが、どんなプロフィールムービーにするかは、この「情報収集」の結果で決まってきます。
おふたりの人生に、これまでどんなエピソードがあったのか、ふたりはどのように出会って、どのように付き合って、どのようなことでケンカして、どのように結婚することになったのか、おふたりでさえ忘れていたような情報も引き出しながら、ストーリーを作っていきます。
それは今日のご飯を作るときに、冷蔵庫の中をチェックするのと似ています。「にんじんとじゃがいもがあるな」となれば、今日はカレーにしようか、いや肉じゃがもいいな、なんて可能性が出てきますよね。ふたりの結婚の舞台裏に、どんな材料がどのくらいあるのか、をまず調べるのがこの「情報収集」です。
では具体的に、どうやって情報収集をやるのか!?それには、自分で自分に質問をして、答えを記入していくとやりやすいです。空飛ぶペンギン社で使っているヒアリングシートを例にとってご紹介しましょう!
まず、おおまかに、●●時代、という風に大きな区切りを作ります。
幼少時代
小学校時代
中学校時代
高校時代
大学時代
社会人時代
そして、それぞれに、下記の質問項目をつくります。
例えば、小学校時代であれば・・・
●どんな小学生だったか
●委員会やクラブ活動・習い事は何をしていたか?
●家族との関係はどうだったか?
●その他、忘れられないエピソードは?
と、こんな感じの質問を用意します。
「あ、そういえば、低学年はおとなしかったけど、サッカークラブに入ってから、やんちゃになったなー」とか
「教室で飼ってた亀を逃がして怒られたことあったなー」とか。
こういう風に、質問されると、具体的に思い出してきませんか?記憶を掘り起こすために、卒業アルバムや文集などを見返してみるのもいいと思います。
ただそれでも、幼少時代や小学校時代については、思い出すのが大変だと思います。その場合は、同じ質問を、ご両親にしてみましょう。ご両親は、子どものことをよ~く覚えているものです!「え?そんなことあったの??」「私、そんなこと言ってたんだ~」と、新しい発見が見つかるはずです!
ご両親だけではなく、友達に聞いてみるのも面白いかもしれないですね
ステップ2 ~構成(ストーリー)を考える~
空飛ぶペンギン社 プロフィールドキュメンタリーより
情報収集が終わったら、次は、集めた情報を整理して、プロフィールムービーの構成を考えていきます。ここがなかなか難しい!一番頭を使う部分です。
構成はどのように作っていくのか。簡単にいうと、大きくふたつの作業を行います。
それは、①集めた情報に、意味を加えていく、②その中からいらないものや優先順位の低いものを捨てていく、です。
①集めた情報に、意味を加えていく
空飛ぶペンギン社 プロフィールドキュメンタリーより
まずは、1の「集めた情報に、意味を加えていく」について説明しますね。
集めた情報の多くは、単純な「事実」のことが多いと思います。
例えば、「小学校6年生の時に生徒会長をやった」「高校のサッカー部で県大会ベスト8に入った」などなど。
よくあるプロフィールムービーででてきそうな情報ですよね。
でも、「ふーん」って感じで終わっちゃいません??
そうなんです、これだけだと、「あはは!」とか「へぇー!!」っていう情報が足りないのです!面白くするには、ここからさらに一工夫!このかき集めた「事実」に「意味」を加えていくのです。
「小学校6年生の時に生徒会長をやった」。この事実に意味を加えると、どうなるか?
まず、どのように生徒会長になったのでしょう?「実は誰も立候補しなくて、無理矢理やらされた」「激戦の選挙を勝ち抜いた」。このどちらかによって意味が大きく変わってきますよね。
前者であれば、頼まれると嫌とは言えない性格だったのかもしれないですし、人気者で人望があったのかもしれない。
後者であれば、すごく正義感や責任感が強かったのかもしれないですね。選挙を勝ち抜くには公約や戦略なども必要だったでしょう。
意外としたたかで頭の良い人だったのかもしれないですね。
そういったことを思い出し書き出していくのです。
では前者のパターンだったとして、意味ある情報を加えるとどうなるか。
「頼まれると嫌とは言えない性格」
「集めていたビックリマンシールも、友達にお願いされて全部あげてしまうほどお人よし」
「気が付けば、誰もやりたがらなかった生徒会長に抜擢されてしまう」
「その結果、先生の都合のいいように利用される傀儡政権が誕生した」
こんな感じでストーリーが膨らみましたね。
「小学校6年生の時に生徒会長をやった」だけのパターンと比べるとどうでしょうか?
リーダー気質だったのかなーと思いきや、そうではなくて、どちらかというと言いたい事が言えない、という性格が伝わってきませんか?
大人になった今、もし言いたい事をズバズバ言う性格になっているのなら、ゲストは「へぇー!!」と驚くでしょうし、今も、同じように内気な感じであれば、「わかる、わかる!!やってそう!!」と共感することでしょう。
「高校のサッカー部で県大会ベスト8に入った」。これにも意味を加えてみましょう。
まず、ゲストからすると、県大会ベスト8が、すごいのかすごくないのか、いまいちピンときません。きっとすごいんだろうな、くらいです。さらに、主人公(この場合だと新郎)がどのように関わっていたのかも見えてきません。
そのあたりが分かるように意味を加えていくのです。
例えば、「毎年大会では、初戦敗退の弱小サッカー部」「キャプテンに選ばれたのを機に、それまでの練習方法を改善」「奇跡の連勝がはじまり、開校以来史上初となる県大会ベスト8を果たす」などとすれば、なんかすごそうですよね!
漫画の主人公みたいな青春時代だったんだろうな、なんて想像しちゃいます。
そんな出来過ぎたエピソードじゃなくてもいいんです。
「3年生の時に、県大会ベスト8に入る」
「その時、新郎はビデオ係だった」
でもいいんです。「試合出てないのかよ!!」というツッコミが入り、盛り上がることでしょう。
このように、「事実」の周辺に他の「事実」を加えることで、意味のあるストーリーが生まれてくるのです。
ただ、なかなか普段そのような作業をしてない方が大半だと思われるので、実際にやり始めると、難しいかも知れません。そんな場合は、次のような質問をしてみるといいですよ。
・どうやってその状態になったのか?(どんな理由でそうなったのか?)
・具体的にどんなことをした?(どんなことが起きた?)
・その結果、どうなった?
この質問に答えていくと、自然と、意味のあるストーリーが見つかるはずです!
②その中からいらないものや優先順位の低いものを捨てていく
それが終わると、次は、「その中からいらないものや、優先順位の低いものを捨てる」作業です。
お気づきかもしれないですが、意味を加えていくと、当然、文章のボリュームが多くなっていきますよね。
よく披露宴のプロフィールムービー制作会社のフォーマットをみても、全体で6~7分だったり、文字数の制限があったりと、到底全部は入りませんね。自分たちで作る場合は、文字数制限はないですが、それでもあまりに長いと式場から嫌がられたりすることもあります。
(ちなみにうちの「プロフィールドキュメンタリー」という商品は、20分くらいありますけどね!)そこで、情報の取捨選択が必要になってくるのです。
どういう基準で、「残し」「捨てて」いくのか。
その基準をお伝えすると、
・必要な情報
・ゲスト的に面白い情報
このふたつを残して、あとは捨てるのです。
「必要な情報」は、面白いわけではないけど、基本的なこととして伝えたい内容です。ふたりの名前はもちろん、出身地とか、生年月日とか、いま勤めている会社の名前とか、そういった類の情報ですね。これはそれほど難しくないですね。
ゲスト的に面白い情報かどうか判断する3つのコツ
「ゲスト的に面白い情報」かどうか、こっちが大事な上に、なかなか難しいところです。自分では面白いと思ってても、ゲストからするとそうでもなかったりすることもあるでしょうし、その反対に、自分では面白くないと思っていた情報が、ゲスト的には面白い場合もあります。その判断がなかなか難しいのですが、コツは、以下の3つです。
「内輪ネタは捨てる」
「まわりから見えている自分のキャラクターに合うエピソードを残す」
「まわりから見えている自分のキャラクターとは真逆のエピソードを残す」です。
1.内輪ネタは厳禁!!
厳しく禁ずると書いて厳禁です!一部の人にしか分からない単語を使ったりするのはやめましょう。それ以外の人が、疎外感を感じてしまいます。
『ちっ!一部で盛り上がりやがって!ご祝儀返せ!!』なんて思われたら嫌ですよね。みんなに心地よく過ごしてもらわないと意味がないですよね。
内輪ネタでも、みんなが分かるように翻訳してあげればOKですよ!内輪ポイントに、説明を足してあげるのです。
例えば、高校時代、仲良しの友達の間で遊びの罰ゲームとして、激マズドリンクを飲むというのが流行っていたとしましょう。
その激マズドリンクのことを仲間内で、「魔ジュース」と呼んでいたとします。
「高校時代によく飲まされた「魔ジュース」。いまでもよく覚えています」みたいなテロップを出してしまうと、内輪ネタ決定です。アウト!!
これを内輪ネタにしないように修正するには、「コーラとお茶とコーヒーを混ぜた激マズドリンク「魔ジュース」。遊びの罰ゲームでよく飲まされてました」
と、説明をすれば、当時を知らない人も、「うわ、まずそう!あいつ、そんなことしてたんだね!」と、プロフィールムービーに参加できるのです。一緒に「魔ジュース」を飲んだ高校時代の友達は「懐かしい!!」「タバスコも入ってなかった??」などと盛り上がりますし、「魔ジュース」を知っている人も知らない人も、みんなが楽しめる内容になりますよね。
実は私が、NHKに入局したての頃、上司によく怒られていたのもココでした。
テレビ番組は、視聴者全員に伝わるように番組を作らないといけないんです。当たり前なんですけど、この当たり前を実行するのがなかなか難しくて・・・
一部の人しか分からないような専門用語を連発してはダメですし、詳しい人には当たり前のことだけど、その他大勢の人にとって当たり前ではないことはきちんと説明しないと、番組を観てくれなくなるのです。そのため、NHKではいつも、「これで本当に意味が通じるのか?」「わかりにくくないか」など番組のナレーション原稿を、1行1行、じっくりと、みんなで時間をかけて、話し合ったりしてました。
というわけで、内輪ネタは捨てる、もしくは翻訳して、みんなのネタにしてあげる、というのが大事です。
2.「まわりから見えている自分のキャラクターに合うエピソードを残す」
これは、要するに、「周りの期待に応えるネタを用意する」ということですね。
周りから、天然キャラだと思われている場合は、集めた情報の中から、強烈に天然キャラが伝わるエピソードを残すのです。
「小さい頃、石鹸をお菓子だと思ってよくかじっていた」「空を飛べると信じていて、ベランダから飛んで骨折」とか、周りが「やってそう~!!」と共感するようなエピソードを残しましょう。
3.「まわりから見えている自分のキャラクターとは真逆のエピソードを残す」
今度はさきほどの反対で、「周りの期待を裏切るネタを用意する」のです。
ギャップです、ギャップ。
モテる秘訣は、「ギャップ」だとよく女の人に教えられます。周りから、チャラチャラしてると思われている場合、逆に真面目なエピソードを残すのです。
「アルバイト代を貯金して、両親を温泉旅行に連れて行った」>とか言われたらどうでしょう?一気に見直しますよね!
不良が電車でおばあちゃんに席を譲ると、めちゃめちゃ株が上がるように、ギャップある情報を残すことで、「へぇー!」となったり、「まじか!!」となったり、驚きが生まれます。
ステップ3 ~写真を集める~
さあ、ここまで来たらあと一息!ゴールはすぐそこ!
いままで苦労して集めて、厳選した情報にピタッと合う写真を集めるのです。
小さい頃の写真は実家でかき集めましょう。ふたり一緒の写真が少なければ、今からでもたくさん撮りましょう!写真の候補がたくさんある場合はそこで表示するテロップになるべく近い写真を選びます。
例えば、「サッカーのヘディングをしすぎで勉強が苦手になった(本人談)」というテロップがあったとしましょう。
これに合う一番良い写真は、サッカーのヘディングをしている写真です。野球をしている写真では、あまりに写真と文字の情報の差が激しすぎて、頭に入ってこないからです。
サッカーをしている写真がなければ、ぼーっとしている表情の写真や、家で寝転んでゲームしている写真、ヒーローごっこしている写真などでもいいです。「ああ、勉強してなさそう~」と思われそうな写真を選んでください。どうしてもテロップに合う写真がない場合は、仕方ないので、ゲストが情報を受け入れられるよう、ちょっと表示時間を延ばしましょう。
そうやって厳選した写真を編集ソフトで並べて、テロップを入れれば、完成です!!
ラストステップ ~何度も観て修正~
完成したら、通して、何度か観てみてください。できるだけ客観的に!
「内輪ネタはないか」「ちゃんと面白い意味のある情報になっているか」
「写真は見えやすいか」「カットの秒数は短くないか」「長すぎないか」など、初めて観るゲストになった気持ちで、観てみてください。
すると、「あ、ここ分かりづらい」「ここ、言うほど面白くないかも」「時間が短くて、文章読み切らなかった」など、色んなことに気がつくはずです。
NHKの番組作りでは、担当のディレクターがロケをして編集をして、ナレーションを考えます。編集室にこもりっぱなしで、編集をし終わると、「試写」と言って、上司たちを呼んで観てもらいます。
私たちディレクターは、この試写が一番憂鬱な時間なのです。
なぜか。
試写が終わると、大体、ボコボコに言われるんです・・・。「全然、面白くないんだけど、お前どーすんだよ!」とか、「意味が分からなかったんだけどさー」とか、言われたい放題です。
編集している時は、「よし、名作でーきた!」なんて思ってるんですが、試写でその自信は、粉々になるんです。自分は、これまでずっと取材してきたし、ロケも行ったり、編集で何度も映像を観てるので、ちょっとずつ、感覚がズレて、ひとりよがりになってたりするんですよね。そのズレを、試写で突っ込んでもらい、軌道修正をするんです。
試写で一通りののしられると、今度は、どうやって修正するか、という前向きな話し合いになります。
そうやって何度も試写、修正、試写、修正を経て、初めてテレビに流れるのです。不思議なことに、それを経て出来上がったものは、最初のものよりも格段に分かりやすく、面白くなってるんです。
以前、「るろうに剣心」の映画を撮った大友監督のお話しをうかがう機会がありました。大友監督がおっしゃるには、るろうに剣心の場合、通常の関係者だけでの試写ではなく、一般の人を呼んで観てもらいアンケートを取ったそうです。
その結果を踏まえて、また脚本を変えたり、撮影シーンを変えたりしながら作ったそうなんです。その結果、あれだけのヒット作になったんだと。
というわけで、言いたいのは、「試写、大事!」です。できれば、ご両親や友達などにも観てもらうのもいいかもしれないですね。
3 まとめ
ゲストに喜ばれる披露宴のプロフィールムービーの秘訣、いかがでしたでしょうか?
秘訣その①「ふたりだけの情報を出す」
秘訣その②「ゴシップネタをできるだけ出す」
秘訣その③「おしゃれよりも分かりやすさ!」
この3つを意識するだけで、ふたりらしさと面白さはグッと増し、ゲストの評判も良くなることでしょう!是非、心の片隅に覚えておいていただければ嬉しい限りです。
こうして苦労して作ったプロフィールムービーは、披露宴でゲストから喜ばれるだけではありません。新しい家族の誕生の物語として、家宝になるのです。喧嘩した時にそれを観て仲直りしたり、将来お子さんが生まれて大きくなったら、一緒に観たり。お子さんからすれば、その物語のおかげで自分が生まれたわけなので、とても価値のある記録です。「一生の家宝を作るんだ!」そんな気持ちと気合いをもって、楽しみながら、挑戦してみてください!!
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原 勝則
空ペン社代表
NHK、リクルート、ベンチャーを経て、空飛ぶペンギン社を設立。 ブライダル業界のことを何も知らずに飛び込んだおかげで、アレやコレや何かと大変な目に合いつつも、これまでのブライダルにはなかった新しい風を創り出す(自称)。日々、精進中。
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